武蔵中央電気鉄道(八王子市営路面電車)


武蔵中央電気鉄道(八王子市営路面電車)の地図

武蔵中央電気鉄道とは、1929(昭和4)年から1939(昭和14)年まで10年間運行された八王子市内の市営の路面電車である。

▼八王子郷土資料館展示の路線図(『京王帝都電鉄三十年史』をもとに作成)

武蔵中央電気鉄道(八王子市営路面電車)

▼昭和7年(1932年)発行の地形図に武蔵中央電気鉄道の軌道をピンクでなぞってみた。停車駅は、東から西に向けて「東八王子駅前駅 – 新町駅 – 横山町駅 – 八日町駅 – 八幡町駅 – 追分駅 – 千人町駅 – 地蔵堂駅 – 横山車庫前駅 – 横山駅前駅(旧・武蔵横山駅) – 浅川新地駅 – 御陵前駅 – 浅川原駅 – 浅川駅前駅」のはずだが、現在の地名と微妙にずれているので、場所の正確さには自信なし。この地図の1年後に「浅川駅前~高尾橋」間まで延長したらしい。 京王御陵線は昭和6年3月20日に開通しているが、この地図には反映されていない。

武蔵中央電気鉄道(八王子市営路面電車) map_1

武蔵中央電気鉄道(八王子市営路面電車) map_2

武蔵中央電気鉄道(八王子市営路面電車) map_3

路面電車の敷石の一部は八王子郷土資料館に展示されている。甲州街道沿いの長安寺の参道にも敷石が再利用されている。

▼御陵線のガードをくぐる武蔵中央電気鉄道(昭和初期)。横山駅前駅付近の交差と思われる。
八王子の二十世紀(八王子市郷土資料館)より引用

武蔵中央電気鉄道(昭和初期) romen_05

▼甲州街道をわたる京王御陵線。武蔵中央電気鉄道の軌道をまたぐ形で交差している。上の写真と同じ場所と思われる。 昭和10年頃
1998年度特別展 八王子市郷土資料館 展示図録「セピア色の風景-写真で見る明治・大正・昭和の八王子-」より引用

京王御陵線 romen_08

▼甲州街道(2009年2月)

甲州街道

▼横山町米屋呉服店屋上より八日町八幡町方面を望む 昭和5年 『多満乃誇』
1998年度特別展 八王子市郷土資料館 展示図録「セピア色の風景-写真で見る明治・大正・昭和の八王子-」より引用

横山町米屋呉服店屋上より八日町八幡町方面を望む romen_06 romen_06

▼高尾山録付近の武蔵中央電気鉄道 昭和11年 『東京府史』
1998年度特別展 八王子市郷土資料館 展示図録「セピア色の風景-写真で見る明治・大正・昭和の八王子-」より引用

高尾山録付近の武蔵中央電気鉄道

▼武蔵中央電気鉄道の軌道と石畳が敷かれた八王子の商店街。昭和12年 『八王子商工案内』
1998年度特別展 八王子市郷土資料館 展示図録「セピア色の風景-写真で見る明治・大正・昭和の八王子-」より引用

武蔵中央電気鉄道の軌道と石畳が敷かれた八王子の商店街 romen_09

▼市電のレール撤去作業。昭和14年。小林正申氏蔵。
この敷石の一部は祥霊山 長安寺(参道)や八王子市郷土資料館に残されている。
1998年度特別展 八王子市郷土資料館 展示図録「セピア色の風景-写真で見る明治・大正・昭和の八王子-」より引用

市電のレール撤去作業 romen_10

▼八王子市街(追分町通り) 昭和はじめ 国土地理院・地形図での位置

八王子市街(追分町通り)

▼追分付近(2009年2月8日)。国道20号(右側の道路)が市電の跡。
※追分の歩道橋は2015年に架け替えられた。
参考:国道20号追分第一・第二歩道橋改良 _ 相武国道事務所 _ 国土交通省 関東地方整備局

追分付近

▼八王子市街(八日町通り) 昭和はじめ 国土地理院・地形図での位置

八王子市街(八日町通り) 昭和はじめ

▼夜の八王子市街(横山町三丁目)
昭和11年頃に八王子市役所が発行した絵葉書より。
正確な時期不詳だが、横山町三丁目の両側にネオンサインが設置されたのが昭和9年(1934)7月20日であることから、それ以降に撮影された風景である。
1998年度特別展 八王子市郷土資料館 展示図録「セピア色の風景-写真で見る明治・大正・昭和の八王子-」より引用

夜の八王子市街(横山町三丁目) romen_21

▼八王子市街(横山町通り) 昭和はじめ 国土地理院・地形図での位置

八王子市街(横山町通り)

▼新地大通りを走る市電 昭和7年 国土地理院・地形図での位置

新地大通りを走る市電 romen_04

昭和4年、路面電車の運行開始の年に、甲州街道の追分~高尾間に植えられた2mほどのイチョウの苗の並木道は、現在15mに達する大木となって約4kmの道のりを覆い尽くしている。

八王子市郷土資料館に展示されている市電の敷石
(八王子郷土資料館は2021年3月31日をもって閉館)

武蔵中央電気鉄道の敷石

武蔵中央電気鉄道の敷石

長安寺の参道に再利用されている市電の敷石

武蔵中央電気鉄道の敷石

▼追分付近(2013年8月)

追分付近(2013年)

追分付近(2013年)

名称 武蔵中央電気鉄道(むさしちゅうおうでんきてつどう)
名称 武中電車
概要 かつて八王子の市街地を走っていた市営の路面鉄道(武蔵中央電気鉄道)の路線跡を古い地図上に見ることができる。
住所 東京都(旧・東京府)八王子市
営業期間 1929(昭和4)年4月~1939(昭和14)年
運行年数 10年
運行時間 八王子駅前~高尾橋間は6:30 ~21時台まで8 ~16分間隔
東八王子駅前 ~横山町間は7時台から20時台まで7分間隔
営業区間 現・京王八王子駅~現・高尾山口駅付近
駅一覧 東八王子駅前駅(現・京王八王子駅) – 新町駅 – 横山町駅 – 八日町駅 – 八幡町駅 – 追分駅 – 千人町駅 – 地蔵堂駅 – 横山車庫前駅 – 横山駅前駅(旧・武蔵横山駅) – 浅川新地駅 – 御陵前駅 – 浅川原駅 – 浅川駅前駅(現・高尾駅) – 川原宿駅 – 小名路駅 – 落合駅 – 高尾橋駅
※京王合併前のデータ
駅数 18駅(起終点駅含む)
開業理由 大正天皇崩御のため造営された多摩御陵へ多くの参拝客が集まったため。
休止理由 世界恐慌(市内の繊維産業の不振)や業績不足(中央本線での電車運転開始や京王御陵線の開通で乗客が伸び悩む)のため、1939(昭和10)年6月に 休止
合併 1939(昭和10)年6月に運行休止してから、一部区間を取り残す形で京王御陵線に合併されたが、その御陵線も戦局の悪化に伴って約6年後に廃止された。
地図 運行期間が短いので、路線を確認できる地図は少ない。
軌間 1067mm
路線距離 8.4km
複線区間 全線単線
電化区間 全線電化(直流600V)
閉塞方式 軌道のため閉塞方式はなし
歴史
  • 1929(昭和4)年 4月 武蔵中央電気鉄道を設立
  • 1929(昭和4)年11月23日 追分~浅川駅前間開通
  • 1929(昭和4)年12月23日 追分~京王前間開通(京王前は仮設電停)
  • 1930(昭和5)年3月29日 浅川駅前~高尾橋間開通
  • 1930(昭和5)年10月3日 京王前~東八王子駅前間開通(同時に京王前電停は廃止)
  • 1932(昭和7)年4月10日 横山町~八王子駅前間開通
  • 1938(昭和13)年6月1日 八王子駅前~横山車庫前間および東八王子駅前~横山町間を廃止、同時に武蔵中央電気鉄道が京王電気軌道に吸収され、残った区間の横山車庫前~高尾橋間が京王八王子線となる。
  • 1939(昭和14)年6月30日 全線廃止
地図 MapFan.web
Google Maps
参考 武蔵中央電気鉄道 – Wikipedia

▼町田街道入口(熊野神社前バス停)にて。浅川原駅と浅川駅前駅の中間あたり。
追分町~高尾町にかけて約4キロメートル続く銀杏並木は、昭和2年(1927)の大正天皇の多摩御陵完成に伴い、昭和4年(1929)に道路改修された際に、宮内庁によって植えられたもの。路面電車の運行開始年と植樹年が一緒の誕生日。今では15メートル以上に達しているものもあるが、当時は2メートルほどの苗だったらしい。
参考:甲州街道イチョウ並木|八王子市

甲州街道イチョウ並木|八王子市

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